ヤンヤンつけボーの粉は残りがち

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【ネタバレ有り感想】『ポケットモンスター ソード/シールド』は「継承」と「温故知新」の青春活劇なのではないかという考察

前回から思ったより時間が空いてしまいました! すみません!

 

ブログ記事って、一度書き始めると変に凝ってしまって時間が掛かることがあるんですよね。今後は早めに出せるように気をつけます!今回は珍しく真面目に考察しました。 

 

ということで、前回に引き続いて『ポケットモンスター ソード/シールド』の感想記事です。システム面の感想は前回書きましたので、よろしければ以下からどうぞ。

 

yanyantukeboono.hatenablog.com

 

システム面ではオンライン関係で気になることが多かったですが、ストーリーは明るい展開が多くて好みでした。 ストーリーについてはDLC第2弾までプレイした所感です。また、ソード版でプレイしています。

 

 実は今回の記事を書くにあたって、先延ばしにしていた伝説厳選を適当なところで切り上げてエキスパンションパス第2弾をクリアしました。やっぱりトーナメントなどのオールスター戦って、テンション上がります。ジムリーダー全員が並び立つカットは何度見てもカッコイイです。

 

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※本記事には、『ポケットモンスター ソード/シールド』本編とエキスパンションパスの重大なネタバレを含みます。未プレイの方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急所にぶっ刺さる多種多様な属性のジムリーダーたち

 

今作はジムリーダーがすごく個性的で魅力たっぷりなんです。今までのシリーズでもジムリーダーは特徴的だったのですが、今回はジムリーダーのキャラが一段と立っているように感じました。昨今のシリーズから引き続いて、ジムリーダー同士の関係性が垣間見えるのも良かったです。あと、ジムリーダーが「超えるべき壁」ではなく「共に競い合うライバル関係」というガラル特有の考え方も新しい感じがしました。
 

個人的には、炎タイプのジムリーダー カブと、水タイプのジムリーダー ルリナがツボでした。カブさんは漢気溢れて暑苦しくないジェントルイケオジです。ルリナさんはクールビューティーに見えて、心に熱さを秘めているところが素敵です!

 

 ポケモンカードゲーム PK-S2a-077 カブ SR

ポケモンカードゲーム PK-S4-111 ルリナ SR

 

他にも、皆大好きチャンピオンのダンデドラゴン使いのキバナ、見た目とは裏腹に努力家な岩使いのマクワ、実は優しいフェアリー使いのポプラなど、それぞれ個別の外伝シリーズを作れそうなくらい魅力的なジムリーダーたちです。

 

どのキャラクターも誰かのツボという名の急所に当たりそうなキャラクターばかりなのは流石ゲーフリ。

 

「さすがだぞ! オタクのきゅうしょを ばっちり わかって いるんだな!」

 

 

 

牧歌的な雰囲気でさっぱりとした明るいストーリー

 

作品全体としてのストーリー展開も凄く面白かったです。ここ最近のシリーズの流れからダークなストーリーが展開されるかと思いきや、さっぱりとした明るめのストーリーだったのも今作には合っていたと思います。ガラル地方は牧歌的な雰囲気だったので、そこが尊重されていて良かったですね。

 

ただ、後半でラストバトルがとある騒動で中断された後、あっさりチャンピオン戦に戻ってきたのは少し気になりました。あの騒動を経ての変化などが何か見えると、よりしっくり来る展開だったかなとも思います。とはいえ、試合後の会話でダンデが「未来」について触れているので全く触れていないわけでは無いのですが。ダンデ戦は熱かったです。

 

ポケモンカードゲーム PK-S4-110 ダンデ SR

 

エキスパンションパスのイベントに関しても、意外とあっさり流れていってしまう感じがありました。全体を通して、各キャラクターの掘り下げをもう少し深くやって欲しかったですね。クララちゃんとのバトルは、心の底に秘めた信念が伝わって中々に熱かったですが。あと、マスタード師匠の本気がかっこよかった。

 

ただ、各キャラクターの掘り下げはオリジナルアニメーションの『薄明の翼』などでも見られます。また、各リーグカードからそれぞれの内面は垣間見えるので、考察の余地を残しているのかもしれません。ストーリーは表面上あっさりしていますが、実は考察していくと想像以上に深い意味合いがあって面白いです。

 

www.pokemon.co.jp

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大人から次世代への「継承」の物語

 

今作のストーリーでのテーマは何かと考えると「継承」と「温故知新」の物語だったのかなと思います。例えば、ビートマリィは現ジムリーダーから覚悟や資質などを継承し、ホップポケモンの研究を継承していきます。そして、主人公はダンデからチャンピオンを継承し、ホップと二人でガラルを護る英雄としての役割も受け継いでいます。

 

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ただ、今作の「継承」は大人たちが去っていくような悲壮的なことではないと思っていて。それぞれが藻掻きながらも新たな役割を得て、大人たちも成長していく物語だったなと思います。ダンデマスタード師匠たちは「頼られ、追われる側」から、「人に教えつつも共に歩み、追う側」へと変わっていきました。継承される側であったマリィやビート、ホップはそれぞれ挫折を体験し、それでも自らの目指す道を進んでいきます。

 

話は逸れるのですが、私はこの展開を見たとき、萩本欽一さんがはしのえみさんに伝えた言葉を思い出しました。

 

欽ちゃんには「自分がやりたいことと、自分に向いていることは違うことが多い。まず自分に向いていることを見つけよう」と言われました。この一言をきっかけにコントも積極的に勉強するようになり、演技の幅も広がって大きな転機となりました。

 ※ はしのえみ さん | まず自分に向いていることを見つけよう | Felia! フェリア 南日本新聞 より引用

 

 マリィホップはチャンピオンになる夢を、ビートローズ委員長に貢献するという夢を破られます。しかし、ホップポケモンたちの変化を見抜くその目を活かし、他の二人も得意タイプを活かして新たな夢に向かいます。自分たちの向いていることを見つけ、それを活かすというのは私たちも意識すべきことだなと思いました。

 

話を戻します。逆に前線にいた大人たちであるポプラは一線を退き、ビートを初めとした後輩育成の立場へ。ネズマリィにジムリーダーを託し、マグノリア博士の研究はソニアホップという若い芽が継ぐこととなる。そんな役割の変化。若者はまだ見ぬ未来に進み、先を歩いた大人たちはその隣で彼らと並び立って未来を見守る。そんな丁度良い距離の関係。

 

本編シナリオの総括をするなら、大人から次世代への「継承」の物語であり、子どもから大人へ育つ青春活劇だったように感じます。

 

 

 

 

古き伝承を引き継ぐ「温故知新」の物語

 

次に、エキスパンションパスの『鎧の孤島』、『冠の雪原』での物語では、前述の「継承」というテーマはそのままに、「古き伝承を護る」という部分に焦点が当たっていたように思います。

 

ポケットモンスター ソード・シールド エキスパンションパス|オンラインコード版

 

人々から忘れ去られながらも、主人公やピオニーの登場で信仰を取り戻すバドレックス (ザシアンとザマゼンタと同様ですね)。土地に合わせた姿に変わり、尚もその威光を放つレジシリーズと、3鳥。これらは伝承を護り続けることも大切だというメッセージが秘められている様に感じます。『鎧の孤島』でのダクマとの修行などからも、伝統や伝承が継承されることの大切さを表わされていたように感じます。

 

あと、『冠の雪原』でのピオニーの行動は、ローズ委員長との対比になっているようにも感じました。ローズ委員長は未来に囚われた結果、目の前にいる伝説のポケモンの存在や若者、周りを利用し、冷酷に切り捨ててでも自分で使命を果たそうとする孤独で「継承」を出来なかった存在でした。

 

一方でローズ委員長の弟であるピオニーは、伝説のポケモンを重んじつつ、探検などは愛娘や主人公という若者の自由意志に選択を任せる (ある意味では「継承」したとも捉えられる)、若者を見守りつつも頼られる大人という存在として描かれています。

 

ローズさんにもオリーヴさんやビートくんという存在がいたのに、自分の使命に囚われちゃったんだろうなぁ。バトル前の決意したようにボールを握る仕草が切ない……。

 

エキスパンションパスは総括すると、古きを求め新しきを知る「温故知新」の物語だったのかなと感じました。

 

 

こう考えると、ガラル地方が大切にしてきたトレーナーたちが「共に競い合うライバル」というシステムをしっかりと受け継ぎ、これからも地方を盛り上げ続けることを宣言したダンデの「ガラルスタートーナメント」閉幕の言葉は、物語全体の総括だったとも取れます。

 

 

最後に、参考文献を記載して終わりにしたいと思います。いずれも本記事制作にあたって大変参考になった記事ですので、こちらもご覧頂けると幸いです。

 

semiotics.blog.jp

 記号研究所様。私の数千倍深い考察で非常に参考になりました。英国に関する小ネタに関しても詳しく書かれており、凄くタメになりました。

 

 

note.com

 蛍石様。登場人物の心の機微を繊細に拾われており、ライバルたちの挫折を通した感情移入の話など非常に面白かったです。

 

he-normal.hateblo.jp

 日之丸記様。キャッチコピーや色の存在からポケモンを考察されているのが興味深かったです。また、ガラルの伝説についての考察も深くなされていて参考になりました。