普段は「努力」と呼ばれることをするのが大嫌いな天の邪鬼なので、出来るだけ努力を避ける傾向にあります。でも、習慣となると話は別なんですよね。この企画も、毎週続けなければいけないという自分への「縛り」を課すことで頑張れる要因にしています。
「習慣は第二の天性なり」って『ハイキュー!!』でも書いてありましたし、「縛り」は重要だって『呪術廻戦』でも言ってたもん! 今後も、習慣としてブログ記事を更新出来るような適度な距離感を保っていきたいです。
それでは今週分の感想です。前回までの流れは以下からどうぞ。
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今週は2020年号31~36・37号までの5号分の感想です! (31~32号の表紙は感想のところにあります) 今回も長期連載の完結が続きました! 終わりを見届けられる喜びと終わってしまう悲しみの両方も今回も感じながら読みました。
『僕とロボコ』 第1~5話
『お約束のネバーランド』という、『約束のネバーランド』公式ギャグスピンオフを描かれていた作者さんの新連載です。あらすじは美少女人型ロボット「オーダーメイド」が一家に一台いる世界で、主人公のうちに来た待望のオーダーメイドは通常とは様子が違って……ということから始まるギャグ漫画です。
独特の絵柄と独特なギャグが癖になる一作といった感じ。主人公周辺の人間模様などはほぼ『キテレツ大百科』や『ドラえもん』みたいな感じなのですが、どれも現代向けにアップデートされた性格や設定なのがジワジワと面白いです。周りのやつがみんな善人で変人しかいないのが良い。
また本作で特徴的なのは、随所に仕込まれたジャンプ作品へのパロディですね。ちょこちょこ連載陣のキャラクター名が出てきたり、ロボコの足がナッパだったりとギリアウトなラインでの利用がクスっとしてしまいます。ですが、作者さんからのジャンプ作品愛が伝わってきて、心から他作品が好きなんだろうなと分かるのが良いです。
最近本誌のギャグ漫画が本当に盛んになってきましたよね。急激にギャグ漫画成分が満たされてきているのですが、どれもベクトルの違う作品なのが凄いと思います。ただ「狂い」を感じるギャグ漫画はまだ出ていないので、一つくらい出てくると良いなと思ったり。
『ハイキュー!!』 第400~402話 (最終話)
白熱するブラックジャッカルとアドラーズの一戦。日向と影山の直接対決は日向とブラックジャッカルに軍配が上がりました。そして時は進んで2021年の東京五輪。そこには、日本代表として日向と影山の変人速攻コンビが世界に挑む姿が。最後はそれぞれが海外チームに所属して再び相まみえるところで物語は完結。いやあ、良い作品でした。
何度も書いていますが本作の凄いところは、ライバルやチームメンバーたちが主人公と並列に描かれているところですよね。主人公は日向と影山だと思うのですが、彼らだけにスポットライトが当たるのではなくて登場人物全員が主人公の様に活躍するのです。それぞれの人生が描かれて、彼らの活躍も努力も一人の人生として描かれる。現実と同じ様に、ただのサブキャラクターは一人としていないのです。
その集大成が、最終回周辺でそれぞれの現状説明に現れているように感じました。バレーから一戦退いても彼らの人生は続いている。我々の人生が青春の終わりと共に終わってしまうことが無いように、彼らもそれぞれの物語での主人公なのだと感じました。
またスポーツは死人が出なくて、それでいてこんなにも熱くなれる素晴らしいものだという言葉が作中に出てきましたが本当にその通りで。本作を読んでいて、人と人との切磋琢磨はとてつもなく美しいものなんだと改めて感じました。あらゆる悔しさや努力が、いつの日かの糧になる、そんな想いが詰まった本作はこの世全ての努力する人間への大きなエールのようにも感じます。私たちも彼らのように、努力した日々は人生を豊かにすると信じて頑張ってみようと思える作品でした。
古舘春一先生、長い間本当にお疲れ様でした!!
『ミタマセキュ霊ティ』 第43~47話 (最終話)
霊が大量に憑く少女と霊を除霊する「セキュ霊ティ」なる職につく主人公が織り成すギャグ漫画なのですが、今回で打ち切りとなってしまいました。個人的にはギャグのテンポが良くてかなり好きだったのですが、約1年での連載終了です。確かにここ最近は連載順位が下がってきているなとは思っていたのですが、急に打ち切られてしまってかなりびっくりしました。
内容的にはバトル展開に行きそうですぐギャグに戻ってくるなどどっちつかずな感じはありましたが、ギャグ漫画としてのプライドを感じて個人的には良かったです。途中からミタマが霊を怖がらなくなって、ギャグの主軸はブレているのが良くなかったんですかね。もうちょっと盛り上がっても良い作品だと思っていたのですが、ギャグの内容などは人によって好き嫌いが分かれるものだったのかもしれません。でも、ジャブみたいな積み重ねの笑いがジワジワ来る良作だったんですよ!
どことなく『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』や『ボボボーボ・ボーボボ』のテイストを感じていたのですが、あれらの作品ほどの狂気は感じにくかったので、ぶっ飛んだ方向に振り切れていない感じは確かにあったかもしれません。でも本当に愉快なキャラクターたちだったので、またいつかこういった作品を読みたいなと思いました。
鳩胸つるん先生、約1年間本当にお疲れ様でした!
『呪術廻戦』 第113~117話
復活した宿儺と漏瑚の戦闘が本格化。しかし、呪いの王である宿儺の力は圧倒的で漏瑚は敗北して消滅。勝利した宿儺の元には「裏梅」という名の者が出現。一方で呪詛師の急襲に遭った伏黒は自らの死を悟り、今まで誰も調伏出来ていない式神の「調伏の儀式」に呪詛師を強制的に参加させました。調伏が失敗すれば伏黒は確実に死ぬという場面に現れたのは、まさかの宿儺。両雄の激突が始まります。
結局、漏瑚は宿儺に一撃を加えられず消滅してしまいましたね。漏瑚は決して弱い呪霊ではないのに、相手と同じ土俵に立って尚も強い宿儺のとんでもなさが際立ちます。斬撃以外の術式も使いこなせるということは、原典の両面宿儺が2つの顔と8本の手を持つように2~3つの術式を使えたりするのでしょうか。原典通りだと、両手の斬撃と2種の弓で計3つの術式になりそうです。また原典は「人」や「鬼神」として描かれているのですが、本作では呪霊になるんですかね? あと裏梅という人物は、千年前の眷属や付き人だったりするんでしょうか。宿儺陣営はまだまだ謎が深いです。
宿儺と古部由良由良 八握剣異戒神将魔虚羅という妖怪頂上戦争みたいなのが始まりました。散々前フリされていた古部由良由良は未だに使役できていない式神のことだったのですね。どうやら「マコラ」という名前は、元ネタ的には仏教における十二神将の一人のようなので神様クラスの式神っぽいです。本来なら呪いなどを超越した領域の存在ですが、果たして実力はどんな程度なのかが気になります。
また、伏黒のことを宿儺がやたらと気にかけるのは、伏黒と同じ術式の人間が昔からいたことと何か繋がりがあるんでしょうかね。ただの善意で宿儺が人のことを助けるなんてことは万が一にも無いと思うので、伏黒も今後とんでもないことに巻き込まれそう。
『チェンソーマン』 第76~80話
デンジとパワーの元を訪れた「銃の悪魔」の生き残りである「銃の魔人」でした。そして、その肉体の主はまさかの早川。デンジや町の人間を殺戮していることに気づかない早川と、彼と戦う決意が決まらないデンジとパワーは苦戦を強いられます。しかし、生き残った町の人間の声に答えるようにデンジは早川を貫いて決着しました。日常に帰ってきても友を殺めたことに苦しみ続けるデンジ。そこにマキマが現れ、彼女の家に招かれます。マキマに願いを問われたデンジは「犬になりたい……マキマさんの」と答える衝撃の展開に。
あんなにデンジたちのことを心配し、「銃の悪魔」を恨み続けた早川が「銃の魔人」になってデンジたちを殺そうとするのはあまりに酷過ぎる。しかも、早川自身は全然人を殺している感覚じゃないのがまた悲しい。ただ、本来の悪魔や魔人はあんな感じの感覚になっているのかなとも思いました。デンジと遊べて喜ぶ少年早川と、ずっと苦しそうに戦うデンジの対比も観ていて苦しかったです。
地獄のような体験をさせられたデンジはマキマに救われていますが、多分早川が死んだのってマキマが彼を身代わりにしたからですよね? 今後デンジがそのことに気づいたらマキマに恋心を抱き続けられるのか、それとも敵対するのかが気になります。どちらにしても、デンジにとっては地獄のような体験が続きそうでしんどい。第76話でドアを開けようとした場面で「デンジ開けちゃだめだ」という描写もあったので、今回の一件がきっかけで本来の「チェンソーの悪魔」が目覚めたりするのかな。
今回は『ハイキュー!!』と『ミタマセキュ霊ティ』が連載終了しました。かなり好きな作品が終わってしまったので悲しい。今回の読み切りは、最近連載終了した作家さんの担当が非常に多かったですね。特に『約束のネバーランド』の白井カイウ先生、出水ぽすか先生による読み切り『心霊写真家 鴻野三郎』は、読者の予測を裏切る「反転」の要素が短いながらも上手くまとめてあって唸ってしまいました。こうした作品って、本誌以外に収録されなかったりするのが本当に勿体ないので、ぜひ短編集などに収録してほしいです!! では、また次回。