ヤンヤンつけボーの粉は残りがち

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【後編】【ネタバレ有り】実写映画版『逆転裁判』という尖った良さともっさりとした前半のマリアージュ

前回は実写映画版『逆転裁判』をご紹介させて頂いたのですが、

 

 

yanyantukeboono.hatenablog.com

 

 

是非、そちらを読んで頂ければと思います!! おしまい! 

 

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_人人人人人人人_
 Objection! 
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やっぱり詳しい内容についても語りたいので、個人的にめちゃくちゃ良かったシーンの感想も書いていきます!

 

 

 ※以下、ゲーム版「逆転裁判 蘇る逆転および、実写映画版「逆転裁判における物語の核心に迫るネタバレが含まれております。未プレイ、未視聴の方はご注意下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私がこの映画を観たきっかけは、原作の『逆転裁判』(1~3まで) クリア後に「映画版での灰根のシーンが凄かった」という書き込みを某所で見かけたためです。なので、原作未プレイの方よりも楽しく観れた部分はあるかもしれないことを示しておきます。

 

では、気になった点、良かった点をネタバレ込みで触れていきたいと思います。前回示した部分も詳しく書いていきます。

逆転裁判・開廷-cinema ver.

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駆け足なのに無駄が多すぎるもっさりした前半

 気になった部分としては、前半でも書いたように内容は駆け足展開なのに冗長な表現が多いところです。わざわざ本編の見所を削っているのに対して、書類が多すぎてナルホドくんがバサバサ探すシーンや、探偵パートの聞き込みシーンなどのカットが無駄に長くて内容の薄いシーンがあったり、意図が分からないシーンがあったりと、観ている側からすると無駄に感じる部分が多くありました。前半は裁判シーンでも原作特有のブレイクシーンが大して無い (一話の犯人である山野のブレイクが少しだけあるくらい) ので、前半はマジでつまらなかったです。

 

なんというか、ハンバーガーからハンバーグを抜いて、代わりにバンズを挟んだ物を食わされている」くらいもっさりしていて辛かったです。

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あんまりな髪型と原作既プレイ前提の小ネタ

次に、服装や髪型は何とか原作のテイストを残しつつアレンジできなかったのかが疑問に残ります。真宵ちゃんのぱっつんを何故無理に再現しようとしたのだ……。折角綺麗な役者さんたちが演じているのに、あまりにミスマッチな髪型や服装が多く、ビジュアルの学芸会感だけでも敬遠されている気もするので、大変勿体なく感じる部分でした。

 

個人的には、短め前髪パッツンの真宵ちゃんに違和感が凄くて、もう少し前髪を長いデザインに出来なかったのか、真ん中のちょっとした分け目を上手く作れなかったのかが気になりました (あの髪型だとあまり可愛く見えない……)。ただ、矢張は再現度が高くて笑ってしまいました。矢張役の中尾明慶氏の演技と髪型の似合いようも相まって良かったです。

 

それと地味に気になったのは、サイバンチョが淡々としたキャラクターになっていたことですね。柄本明さんというコミカルもシリアスもこなせる役者さんを起用しておいて、なぜそのメリハリを出さなかったのか。すっとぼけているようで、最後はしっかりと判断を下すサイバンチョもメインキャラの一人だと思ったのですが……。

 

 ※劇中曲、主題歌はどちらも良かったです。個人的にはトノサマンのアレンジが最高でした。

 

全体的に、原作既プレイ向けに作られている部分が多くて、原作を知らないと ? となってしまう演出や小ネタが多かったように思います。原作の小ネタたっぷりなのに、原作プレイヤーはビジュアル面で離れてしまうというジレンマ……。

 

あと、灰根と御剣父のやり取りで、急にスタイリッシュアクションでのバトルが始まったのにはちょっと笑ってしまいました。なんであなたたち格闘術に優れてるの!? 

 

個人的には好きだったのですが、原作版の裁判中に出る「・・・・・・・・」の場面に相当するシーンとして、傍聴人たち全員がずっこけるというやや古典的な演出で再現されていました。原作再現のための滑り芸的なギャグ演出があるので、好き嫌いがハッキリ分かれる部分かと思います。

 

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役者の演技が光った灰根の事件までの行動

次に良かった点をいくつか。DL6号事件の裁判開幕~灰根のエピソード補完までの流れと真相解明後のエピロローグが秀逸だったなと思います。また、最後の突きつけ演出は、映画ならではの演出がなされていて良かったです。

 

灰根のエピソードに関しては、自宅にラクガキなどをされるなどのエグいくらいのリアルさで描かれた、無罪判決を受けた被告人への嫌がらせや、その結果の悲劇をインパクトのある映像表現で端的に示されていて、灰根が今回の事件に至った経緯が原作以上に丁寧に描かれていました。個人的には、この部分が非常に素晴らしかったです。

 

また、灰根が激痛に耐えて自らの指紋を薬品で焼くところは原作よりも灰根の犯行に対する覚悟が示されていて、壮絶な生き様を余す所なく表現されていたシーンでした。原作だと、灰根は指示のまま犯行を行ったことのみが示されていて、そこでの苦悩はあまり描かれていなかったので、よりリアルになった感じですね。

 

尋問 ~アレグロ2001-cinema ver.

尋問 ~アレグロ2001-cinema ver.

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灰根の婚約者であったサユリさんの亡霊が灰根に対して語りかけるシーンが、原作の憑依と描写を変えたことがより強くホラーともの悲しさの表現になっていて、感情がごちゃ混ぜにされる感じが凄く良いです。ハッキリ言うと、このシーンを見るまでは「何で憑依の描写をあんな感じにしたの?」と思っていましたが、何だか納得できるような特徴的なシーンでしたね。

 

今作の灰根は原作版よりも更に事件を起こしたというよりも巻き込まれた側面が強くなっており、より原作よりも辛いエピソードになっていて見入ってしまいました。灰根役の小日向文世さんの演技がどこまでも灰根という人間の悲壮さを表わしていて素晴らしかったです。

 

 

映画的に描かれた「突きつけ」と犯人の自白

物語は急転直下で真相に突き進んでいくのですが、原作1話で出てきた「考える人の時計」をこう使うか! と、あえて原作1話での重要な証拠を最後の逆転に繋げる手法はシンプルながら唸ってしまった部分です (証拠品などの管理がややガバってる演出は原作もそんな感じだから許してあげて!)

 

そして終盤の種明かしにおいて、真犯人を追い詰める「切り札」の突きつけ演出、そして真犯人の自白も俳優さんの熱演もあり素晴らしい出来。原作よりも真犯人の生き方へのこだわりの理由がはっきりとしており、原作の5話で語られる「1人で犯罪者と戦い続けるためには武器が必要」という主張にも繋がりがあって凄く良かったです。

 

 

 

この部分に関しては、原作でも5話の真犯人と本事件の真犯人の共通点が触れられていたので、より裁くことへの執着という面での繋がりが分かりやすくて良かったです。原作だと、自分の生き方を突き通すためのプライドであったようにも感じるけど、映画版では逆にそのこだわりすらも自分の信念のためだったので、やや映画版の方が善人寄りの描写がされてたかな、とも思います。

 

(個人的な解釈では、原作版の「あの人」は自身の経歴の完璧さにこだわる完全主義的な面が強かったように感じたので。)

 

特にエピローグにおいて、ナルホドくんが 「灰根さんの弁護を担当しようと思って」と言うセリフは本当に素晴らしかった。原作と法制度の設定などが異なるのかもしれないが、灰根へのフォローがあったところがめちゃくちゃ良かった。原作灰根は、少なからずゲーム内ではフォローが特になかったので (原作版は本人も犯行に後悔はしてなかったけど)。ハッキリ言ってあのシーンのためだけに観ても価値はあるくらいです。

 

そしてエンディングで2の事件を取り扱って終わるところも、原作ゲームの2をプレイしていると思わずニヤリとしてしまう場面でしたね。あえてあれを証拠品とするという絶妙な配慮も良かったなあ。

 

総評すると、「前半の内容がもっと濃くて分かりやすければ、という何とも惜しい作品」といったところです。基本的には、原作の1 (出来れば5話の「蘇る逆転」まで)~2をクリアした人向けの映画になっていたように感じます。それでも、実は原作のメインテーマに対する解像度はかなり高く、改変も最後には良いじゃん! と思える作品でした。

 

映画版の続編は……まあ無いだろうなぁ……。

原作続編もいつか出ると良いなぁ……。

 

2012Spark

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