皆さんは、「実写表現」が用いられているゲームというものをご存じでしょうか。
有名なところでは、実写作品はアドベンチャーゲーム (以下、「ADV」と略す) が多く存在しています。『街』や『428 封鎖された渋谷で』、『√Letter (ルートレター) Last Answer』などはいずれもビジュアル面に実写表現を用いたアドベンチャーゲームです。
そんな実写ADVの行く末とは何か、映画とゲームが交差する作品『Death Come True (デスカムトゥルー)』という作品を遊びましたので、ネタバレなしの感想を書いていきたいと思います。
※本作はゲーム開始時に、「動画配信、投稿などでのネタバレ行為の自粛」を呼びかけられております。動画投稿やライブ配信は禁止されておりますので、ご注意下さい。
Death Come True (デスカムトゥルー) ニンテンドーeショップにてダウンロード配信開始!本郷奏多、栗山千明、森崎ウィン、梶裕貴、山本千尋、佐藤二朗 出演 本格ムービー実写ゲーム
本作の特徴は上記PVの中でも出てくるように、繰り返される「選択」と「死」が重要なワードとなっています。ゲームの進行としては、映画の様にストーリーを楽しみながらプレイヤー自身が選択肢を選んで真実に向かっていくというものです。まさに「これは映画なのか? ゲームなのか?」というキャッチコピーのように、プレイヤーが能動的に参加する映像作品となっています。
この手の映像系ゲームというと、やはり思い出されるのは (アニメーションですが) 『やるドラ』シリーズや、『ユーラシアエクスプレス殺人事件』、『es』などです。それらの作品の欠点として、選択ミスをした際の「リトライ」がただの作業になってしまう部分が挙げられるかと思います。
しかし、この実写ADVの「リトライ」という欠点を逆手に取った仕様が、本作のシナリオを手がけており、自らを「天の邪鬼」と公言する小高和剛氏らしい良さとなっていました。また、一番近い選択肢まで自動で復帰してくれるなど、ゲームとしての利便性も決して損なわれていないところも魅力です。
ゲームと映画が交わる作品という意味では、プレイヤーが選択することで展開が変化する『Detroit: Become Human』や『MAN of MEDAN』、実写パートとCGアクションパートを融合させて展開する『THE QUIET MAN』などの様々な形での融合への挑戦がなされています。また、映画側からだとNetflixの『ブラックミラー:バンダースナッチ』は映画に選択肢を取り入れた革新的な映画ですね。
こうした所謂「インタラクティブシネマ」といわれるものは、個人的には「自分自身がその世界の住人として選択を迫られる」という意味で実写ADVの系譜といえるのではないでしょうか。
『ブラックミラー:バンダースナッチ』の公式サイト
https://www.netflix.com/jp/title/80988062
私は本作をプレイして、「これは新感覚体感型作品だ」と感じました。『映画的ゲーム』でもあり、『ゲーム的映画』でもあるのです。そのどちらかに属することを選んでいないような、まさに新感覚。本作に関しては、ネタバレ防止のため書けないという部分もありますが、それ以上に「あなた自身が体験しないと分からない」部分があるため、是非自身の手で体験してみて欲しいなという思いが強いです。
今年のゲーム一本目は『デスカムトゥルー』でした。いやあ、これは確かにゲームであり映画だったなぁ。めちゃくちゃ面白かった。内容については言えないので、やって見て下さい (ダイマ)https://t.co/jpfCAWGL2A
— ヤンボーという生命体 (@yantukeboo) 2021年1月2日
気になった点を強いて挙げるなら、本作には「デスメダル」という収集要素があるのですが、そのメダル集めの際に10秒ずつの映像スキップしか使えず、やや手間が掛かる部分は気になりました。また、収集要素を含めても3時間程度で終わってしまうため、欲をいえばもっと長く観たい気持ちがありました。しかしながら、いずれも粗探しレベルですが。
本作は間違いなく実写ADVの系譜で有りながら、それらを超えた「何か」であり、ゲーム、そして映画の新たな可能性を見せられたように感じます。映画とゲームが垣根を越えつつある昨今、本作のようなシステムが更にブラッシュアップされながら増えていってくれると嬉しいなと1人のゲーマーとして思います。
最後に、「神様、僕たちは気付いてしまった」が歌う主題歌『インナーサークル』がめちゃくちゃ格好良いので是非聴いてみて下さい。
神様、僕は気づいてしまった - インナーサークル (実写ムービーゲーム【Death Come True】主題歌)