子どもの頃に買った思い出の作品を一つひとつ掘り起こしていくと、埋もれていた青春やゲームを買えたときの嬉しさ、ワクワクなども蘇ってきてノスタルジックな気分になります。そして、「刻み込まれた記憶が連鎖的に戻ってくる」ように、他の作品のことも思い出したりします。
というわけで、今回の思い出の作品は『キングダムハーツ チェインオブメモリーズ』(以下、『COM』と略す) です。ハマる人はハマる独自のゲームシステムと、徐々に解き明かされるストーリー上の謎、新たな敵「ⅩⅢ機関」など本当に面白いんですよ。
本作はゲームボーイアドバンス (以下、「GBA」と略す) で発売されたキングダムハーツです。タイトル的には外伝作品感があるので、シリーズ初見だと見逃しそうなのですが実は本編に関わる重要なエピソードが詰まってる作品なのです (実際に私の友人らは本作をすっ飛ばして続編をプレイしていたので、ストーリーにやや整合性が取れないところがあった)。
私がキングダムハーツシリーズで一番好きな作品は、この『COM』です。当時は友人を含めてこのGBA版『COM』をプレイしている人が殆どいなくて話を出来なかったのが寂しかったですが……。
その後、少ししてから『キングダムハーツⅡ ファイナルミックス+』 (以下、『KHⅡ FM+』と略す) にて、『キングダムハーツ RE:チェインオブメモリーズ』 (以下、『RE: COM』と略す) としてリメイクされたので、そちらで遊んだ方の方が多いかもしれません。この『KHⅡ FM+』、学生だった私には8000円近くのソフトがあまりにも大きい壁で買えずじまいだったなあ……。当時は中古でもほぼ定価並みに値崩れしなくて、全然買える気配が無かったです。
私が本作を買った頃は、友人たちの間で『キングダムハーツ2』が流行っていた頃でした。私も『キングダムハーツ2』が欲しかったのですが、値段が高くて買うことができなかったので、比較的お値段安めの本作を買ったのです。当時、どこに行っても本作が売っていなかったのですが、祈るように向かったトイザらスに売っていて嬉しかったことを覚えています。何故だか覚えていませんが、どうしてもこの『COM』がやりたいんだ!! と思っていたのです。
ゲームスタート直後、初っ端のOPでいきなり3Dのムービーが流れたのには驚きました。GBAのソフトでガッツリ3Dが流れるなんて当時はほぼ無かったので、子どもながらに凄い綺麗!! と盛り上がっていましたね。あと、当時は気にしてなかったのですが、今見返すとドット絵のクオリティが凄い高いですね。ソラやⅩⅢ機関の顔が美しく描かれていました。
本作は今までシリーズのようなアクションRPGとは打って変わり、カードとアクションを組み合わせた一作でした。「0~9」(基本的には数字が高いほど強いが、0は後出しであればどの数字にも勝てる) の多種多様なキーブレードカードや、アイテム・フレンドカード、魔法カードなど組み合わせてデッキを作成して戦い、敵である「ハートレス」や、ディズニーヴィランたちを倒した際に貰えるカードを得て、またデッキを改良していくという独自のシステムです。
カードはそのまま使うと通常攻撃なのですが、低い数字だと相手のカードを後出しされると負けてしまいます (これを「カードブレイク」といいます) 。そのため、3枚までのカードをストックをすることで数字の合計を高くしたり、一定の組み合わせで発動する必殺技の「ストック技」を使うことで対抗する必要があるのです。この駆け引きが楽しい!
ただ、ストックすると1枚目のカードがリロード出来なくなってしまいます。リロードはデッキを再びシャッフルして使用できるようにすることなので、ストック技ばかり使用しているとデッキカードが1、2枚になってかなり戦いにくくなってしまいます。
ゲームとしては、理屈が分かるまでは信じられないほど高難易度に感じるのですが、リロードやストックのシステムを理解し始めるとかなり面白い作品です。その独特でじゃんけんみたいなシステムは、遊べば遊ぶほどデッキの構成や戦略の検討、戦闘中の駆け引きが重要になってきて楽しかったです。『ロックマンエグゼ』シリーズなどでオリジナルのデッキを考えるのが好きな人にはピッタリなシステムかもしれないです。
本作ではポイントを貯めてカードパックを購入出来るのですが、このシステムも当時『遊戯王』や『デュエルマスターズ』で有り金を溶かしていた私にはドストライクでした。だって、現実のお金を消費せずにゲーム内でパックを剥くワクワクが味わえるんですよ!? そんなお得なことってありますか!?!? (これについては未だに同じことを思ってます。無課金でもガチャガチャが回せる現代最高!!)
ソラのストック技である「ラストアルカナム」と「ザンテツケン」がめちゃくちゃ強いんですよ。前者は雑魚戦でのつゆ払いにかなりの効力を発揮し、後者はボスのカードやストック技もブレイクできるので、時間をかければボスの攻撃を封じ込められるクソ害悪技です。
ちなみに本作のラスボス戦で相手のストック技をブレイクをした後に「9」と「0」のカードを後出しし続ける、というクソだりぃ戦法でチマチマ殴り続けて勝った記憶があります。その頃から搦め手が好きだったのか、私は。
ラスボスを倒した後は大満足でゲームを終えたのですが、まさかの裏シナリオがあることにはビックリしました。裏主人公はデッキがすでに決まっているのですが、結構カードパワーが強いので戦い方を考えれば比較的ゴリ押し気味でもいけるのが表と少し違って爽快でした。あとストック技がかなり強いのが嬉しい。
当時はそんなにゲームを多く買えなかったので、カードを隅々まで集めて『アルティマニア』で不足の要素は無いか全て確認していた記憶があります。ちなみに、その頃は「100エーカーの森」でのミニゲームが楽しみたいと思っていたのですが (ちょうど『KHⅡ FM+』に『RE: COM』が収録されるアナウンスが出て、ミニゲームがあるみたいな話題がファミ通あたりに挙がっていたのだと思う)、まさかのGBA版には無い要素だと『アルティマニア』を確認して知り、悲しかったことも覚えています。楽しみにしてたのになぁ……。
当然の如く一緒に対戦をする友人もいなかったので、対戦を試してみることもなくストーリークリアとカード収集完了後はフェードアウトしていきました。でも、本当に面白いゲームだったなあと思います。今またやるなら、あのとき出来なかった対戦をしたいなと思います。「ザンテツケン」デッキで (極悪)。
その後は『キングダムハーツⅡ』をお金を貯めて購入し、ロクサスのくだりでガチ泣きをすることとなりました。結局隠しボスのセフィロスを倒せず仕舞いでしたね。低レベルだと、初見殺し技のタイミングが難しすぎたんや……。
最近のキングダムハーツシリーズではリズムゲームも出てましたが、また外伝でも良いので、『COM』のようなカードゲームベースの作品も出ると嬉しいなと思います。