最近再び『週刊少年ジャンプ』を読み始めまして、2年分溜まっているので、内容の復習もかねて『呪術廻戦』のアニメを観ていました。原作もめちゃくちゃ面白いのですが、アニメ版も演出が凄く丁寧で楽しいですね。とりあえず最新の21話まで視聴したので、その感想を書いていきます。
これ以後の展開に関しては、現在進行中の週刊少年ジャンプを読んで感想文を書くだけの企画「時は動き出す」で絶賛進行中の内容なので一旦保留中です。続きが気になりすぎる。
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ちなみに、一番好きなキャラクターは「東堂葵」と「七海建人」こと「ナナミン」です。アニメ版の東堂の声優さんって木村昴さんですが、声の感じが大塚明夫さんの若い頃に近い感じもして渋カッコいいです。あと原作を読んでるときのナナミンは生真面目そうな声のイメージだったのですが、津田健次郎さんの声が凄くハマっていてビックリしました。
※以下の内容には、『呪術廻戦』漫画版では第54話まで、アニメ版では最新21話までの重大なネタバレを含んでおります。未視聴の方は十分ご注意下さい。
「ここから先は、時間外労働です」
とかいって戦闘で本気を出してぇ~!! スッと臨戦態勢取りてぇ~!! いや、リアルの仕事での時間外労働は辛いので嫌ですが。
予測の付かない展開と、一瞬も気の抜けない緊張感
アニメの話題に入る前に『呪術廻戦』の面白い点として、「先が読めない」ところが挙げられます。どれだけ主人公たちに近いキャラクターでも死ぬリスクがあり、更には主要人物すら躊躇なく死地に立たされる状態に置かれます。
そういった展開の代表が、アニメ版第3話の「高専一年生3名が派遣され 内1名 死亡」だと思います。あれは週間少年ジャンプ本誌で読んでいて震えました。その後も、虎杖と友人になった吉野の母親が躊躇無く呪い殺されたり、吉野本人も呪霊に変えられたりとハードな展開が続きます。
油断すると主要人物であっても死ぬリスクがあるので、従来の漫画のように「主要人物周辺のキャラクターは死なない」という「主人公補正」的な要素が意図的に取り払われているように感じます。誰がどこで死ぬのか分からなくて読んでいてずっとヒヤヒヤしてます。
そして、ハードな展開が続くからこそ主人公たちが一矢報いた瞬間のカタルシスが物凄いんですよ!虎杖悠仁が「黒閃」を決めた瞬間とかマジで最高でした!!
また、敵戦力が圧倒的だったり、「五条 悟」がチート級に強かったりはするのですが、どちらかが無双し続けるという一方的な展開がなく絶妙です。ただ、どちらかの一手で崩れてしまう不安定なバランスの力関係が維持されているので、そこも緊張感がありつつ楽しめる部分なのだと思います。
ハードな展開の作品が人気というのはここ最近よく言われていることですよね。同じジャンプ系列で主人公が常に逆境に立たされている作品だと、『鬼滅の刃』や『チェーンソーマン』なども人気です。
閑話休題。令和はリアル志向で過酷な作品が人気! という声も良く聞きますが、個人的には別に最近の流行りというわけではないと感じていて。そもそも『テラフォーマーズ』や『進撃の巨人』などが連載され始めた頃から、過酷な環境を生き抜く作品系の人気は始まっていた印象があります。
また、2000年頃からの『仮面ライダークウガ』を初めとした平成仮面ライダー初期作品では、現実の過酷さやリアルさを追求した描写が人気を博していました。長らく人気を誇る『ジョジョの奇妙な冒険』も一貫して容赦なく死が訪れるように描かれていますね。
こうした「過酷な世界で歩みを止めない」作品は元々世間的に人気になりやすかったことや、単純にこうした作品の内容や世界観の完成度が高いことが影響しているのではないのかなと個人的には思います。
ただ少年誌でこうした作品がヒットするようになったのは、青年誌や深夜アニメの雰囲気が市民権を得たという部分があるのかもしれませんね。
話を戻しましょう。そんなギリギリの戦いを続ける『呪術廻戦』のキャラクターは、読者に生きていて欲しいと思えるような魅力が詰まっています。人のことをおちょくるのが好きだけど虎杖が死んだ際には怒りを滲ませていた五条 悟や、クールで無愛想に見えて人に優しい「伏黒 恵」などの細かい感情の機微や、行動にいちいち人間味があるところも良いです。
条件が存在するからこそ映える「術式」の知略戦
では、『呪術廻戦』はただハードな展開だからこそ面白いのかというとそれだけでは決して無いです。本作のもう一つの魅力は呪霊や呪詛師、呪術師たちが使う「術式」や「領域展開」などの技を用いた知略戦です。
「術式」にはそれぞれ発動条件や、その出力毎の消費が存在しています。相手に能力を開示することや、条件を満たすことで術式の威力を上げることが出来るなど様々な要素が戦闘中に織り交ぜられています。これらを考えながら戦う部分が本当に面白いんです!
こうした異能者知略バトルといえば、『HUNTER×HUNTER』や『ジョジョの奇妙な冒険』と同じようなタイプの作品といえると思います。これらの作品と同様に、それぞれの発動条件があるからこそ相手の能力を予想したり、自分の能力を秘匿したりといった駈け引きが生まれているのです。
物語の救いとなる明るさと狂気が同居する「虎杖悠仁」
本作の主人公である「虎杖悠仁」というキャラクターも、本作の大きな特徴です。「呪い」を扱うネガティブな感じの内容に対して、明るくめげない好青年の活躍が物語の救いになっています。この子が主人公じゃなかったら、多分内容が重くなりすぎていた気がする。
では、虎杖悠仁はただの善人なのか? と問われると、人並みに相手への殺意を抱くことや、死に対して恐怖や不安を感じるといった適度に人間味もあるのも良いですよね。ただ、ちょっと狂気じみている面もあるような気もします。
本人も語っていましたが、お爺ちゃんの「お前は元気だから、他の人を救える人になれ」という言葉に囚われて人のために生きようとする執着心がちょっと異常だなと思います。この辺りは、夜峨学長にも爺ちゃんを呪うことになるぞと咎められていたりするので、今後にも関わってきそう。友達を救うためとはいえ、自分が死ぬと分かっていて両面宿儺を押さえ込むことに躊躇しないとか結構狂気の沙汰ですし。
あと、お爺ちゃんが最期に言いかけていた虎杖の「両親について」も何か秘密が隠されているようにも感じますよね。最新の本誌では、そういう核心にも触れてきてるのかな。
一種の自己犠牲精神ともいえる異常な正義感というテーマでは、『仮面ライダー 鎧武』の主人公「葛葉紘汰」や、『Fate/stay night』の「衛宮士郎」にも通じる面があるのではないかと思います。通常の感覚よりも強い「正義感」ということが物語のテーマになるというのは、最近ちょこちょこ見られますよね。
より内容が整理され、派手になったアニメ版
アニメ版では戦闘での派手さがグレードアップしていたのが素晴らしいです。ドラゴンボールじみた殴り合いや術式の応酬が疾走感と爽快感満載で良かったです。戦闘は原作よりもスタイリッシュな感じになっていました。原作は作画や戦闘描写が結構独特なので、個人的にはアニメ版の方が見やすかったです。
また、各呪術師の術式がどのような能力で、どういう効果なのかが丁寧に演出されているので原作を読んでいたときよりも発動条件などがわかりやすかったです。ナナミンの術式とか原作での演出を大事にしながらも凝っていて、格好良かったなぁ。
そして、領域展開の演出が良い!! 原作の禍々しさやカッコ良さを踏襲しつつ、映像的には動きが増えていて最高なんですよ!! 見るからに喰らったらヤバい感じが溢れ出ている、正しく必殺必中の空間って感じでしたね。
あと、主要人物以外の人たちとの関わりなどが補完されていたのが良かったです。1話での病院での会話や、ファミレスでの人体発火で周りの阿鼻叫喚具合がよりちゃんと示されてたり。最新話での野球ではテロップなどが増えていたのも良かったです。元々作品全体の情報量が非常に多い作品なので、意味深な発言や行動が整理されていて見やすくなっていますね。
ということで、原作の漫画もアニメ版もめちゃくちゃ面白い『呪術廻戦』、ここからが本番らしいので苦しみつつも楽しんで行きたいですね!